鋼の錬金術師「一は全、全は一」の解釈(カオス理論、フラクタルとの関連性)


鋼の錬金術師という漫画の中で、師匠が主人公に向かって「一は全、全は一とはどういうことか」と問いかける場面がある。

鋼の錬金術師は倫理を巡る物語のテーマ性はもちろん、それぞれ死生観や信念を持つキャラクターが多くてとても好きな作品だが、半年に一回くらいこの漫画のシーンが突然蘇って気になることがある。

今日は家で菅田将暉の「まちがいさがし」というエモーショナルな歌を聞いていたら「一は全、全は一」という言葉とシーンが降ってきたので、これについての僕の考えをつらつら描いてみようと思う。

「一は全、全は一」の作中における解釈

作中では、食物連鎖の全体像から自分と他の生き物を比較することで、「一はオレ、全は世界」という解釈にたどり着いていた気がする。(無人島でアルとエドが最終日に語っていたあたり?)

主人公たちは弟子入りするために無人島に1ヶ月間投げ込まれたわけだが、人間社会とは隔絶された自然界に身をおいたことでこの解釈にたどり着いたのだろう。(筆者のシナリオだが)

また、この解釈を聞いた師匠が合格を出していることから、作中における言葉の解釈は「自分と自然界、世界は分けることができないと悟ること」だと思う。

カオス理論とフラクタルについて

ここで、少し別の視点からこの言葉を考えてみる。

カオス理論、フラクタルという言葉は聞いたことがあるだろうか。

カオス理論とは、初期状態に生まれる微妙な差が後の状態において決定的な違いが生まれる現象である。よく言われる表現として、「太平洋で生まれた蝶の羽ばたきが日本に台風をもたらしてしまう」というものがある。

つまり、全体のごく一部で生じた微細な変化でも、のちの状態においては大きな現象を巻き起こす可能性があるということだ。

フラクタルとは、数学的な概念であり、図形の一部を切り出した形と全体の形が自己相似である図形のことを一般的にさす。リアス式海岸や雪の結晶、ロマネスコ、宇宙、人の体など、フラクタルは自然界においていたるところに存在する。

フラクタルと検索すればたくさん出てくる。youtubeに動画版もあるが、人によっては酔ったり気持ち悪くなったりするので注意してほしい。また、フラクタルを提唱し、作り出した数学者のマンデルブロについてもかなり面白いので気になった方は調べてみてほしい。


これらの概念と「一は全、全は一」という言葉をみてみると、意味合い的に似ている部分があることがわかる。(ここも深く掘ろうとしたけど極論いうとスピリチュアル系や特定の思想に近づいてしまうのでやめます。抽象的に掴んでください。)

僕なりの解釈

フレーズが降ってきてから小一時間でたどり着いた解釈。

カオス理論とかフラクタルといった概念はすでに僕の中での哲学になっているが、「一は全、全は一」という言葉については、自己と外界を考える上で大事な視点だと思う。

大宇宙のために〜だとかいうつもりはないが、人間はどうしても自己を中心に置く、もしくは自己のみが全であると考えてしまう。この言葉の意味は、自分の持つ「欲」という要素を客観的にみて、自分そして全体にとってより良い選択をするために考えようということなのかな、と思う。

鋼の錬金術師の作中やカオス理論、フラクタルでは主に自然界の現象に焦点を当てているが、人間界なんて自然界の派生にすぎないので、資本主義社会や人間関係においても適用可能だろう。

学校や会社などわかりやすい組織だけでなく中の良い人たちとの関係やコミュニティについても、全体の中に自分が所属している感覚を持つこと。そして、その中で何か変化を起こしたい時は、変化が生じるポイントを見極めて動く。

部活やサークルのリーダーになりたいなら適切なタイミングでそれに応じたアクションをとる、部長や管理職になりたいなら常にその姿勢を持って行動する。そうすることで小さな波が生じ、波のさざめきによって大きな事象(ほしい結果)が具現化するのだろう。

アクションを出す勇気がないのなら、一は全、全は一という言葉を思い出してほしい。所詮その一瞬で起こることなど誰も覚えちゃいないし、その一瞬自体に価値はない。大事なことは、その一を全体に伝えるための姿勢を貫くことだろう。

あ、あとなぜ菅田将暉の「まちがいさがし」の曲を聞いてこのフレーズが降ってきたかというと、世の中には相反するもの・存在がたくさんあるけど、実はもっと大きなものに包まれていて、自己相似もしくは互いに何かの一部であるものがたくさん存在する。

このことから、「まちがいさがしのまちがいと決めてしまうのはなんだかな〜」と思ったから、「一は全、全は一」のフレーズやカオス理論、フラクタルという考えに至った気がする。(突発的に閃くタイプなので理由は後付け)



菅田将暉はエモーショナルなアーティストなので否定するつもりは全くないけど、今回はなんとなく思ったことを言葉にしてみました。うまく言語化できている自身はないけど。

コロナで皆さま外出控えてると思うので、amazon Prime videoとかhuluにアニメもあるのでぜひみてください。古いやつと新しいやつの2シリーズありますが、新しい方が原作に忠実なので新しい方→古い方の順番で見るのがおすすめです。

僕は古い方が好きです。ダークファンタジーのようですが、その分深みがあります。
B! LINE